家族のために書いていた夜、妻が眠る時間を削っていた──『ちはやふる』に教わった、やりたくないことも思いきりやる理由

深夜の机に置かれた読書灯と単行本と畳まれた布巾 父としての背中

ブログを一本書き終えて、顔を上げた。

夜の家事は、全部終わっていた。

俺が机に向かっている間に、妻が片付けてくれていた。
自分の眠る時間を削って。

家族のために始めた夜だった。
その夜が、家族を眠らせていなかった。

机に向かっている間に、終わっていたもの

夜の家事は、正直やりたくない。

仕事から帰って、疲れた体で食器を洗い、洗濯物を片付ける。
誰かに褒められるわけでもない。
終わらせても、明日にはまた同じだけ積み上がる。

だから俺は、「あとでやる」と言って、先にブログを開いていた。

書いている間は、家事のことを忘れていた。
書き終えて顔を上げると、もう終わっていた。

ありがたいと思った。
同時に、胸の奥が少し冷えた。

妻は、俺がやるはずだった分を、自分の睡眠で払っていた。

──俺は、何のために机に向かっていたのか。

家族の時間のために、始めたはずだった

本業とは別に事業を始め、ブログも書いている。

目的は、はっきりしていた。
経済的な自立を早めて、家族と過ごす時間を作ること。

そのために、時間の使い方を変えてきた。
本業は、できるだけ終業時間で終える。
事業やブログは、朝と夜に回す。
本業が落ち着いている時期は、日中にも進める。

限られた時間を、少しでも前に進むことに使ってきたつもりだった。

──その計算に、夜の家事は入っていなかった。

目的のための時間が、目的を削っていた

家事を後回しにしても、家事は消えない。
誰かが、代わりにやるだけだ。

その誰かは、俺が一番時間を作りたかった相手だった。

家族の時間を作るための時間が、家族の時間を削っていた。

前に進んでいるつもりで、足元を後ろに引いていた。
ゴールに向かって走りながら、ゴールそのものをすり減らしていた。

やりたいことを優先したつもりはなかった。
ただ、やりたくないことを、後ろに押し出していただけだった。

──そのとき、ある漫画の言葉を思い出した。

やりたいことを、思いきりやるために

『ちはやふる』に、こんな意味の言葉がある。

やりたいことを思いきりやるには、
やりたくないことも、思いきりやらなければいけない。

初めてこの言葉を知ったときは、部活の話だと思った。
好きな競技に打ち込むには、苦手な勉強も手を抜くな。
そんな、学生向けの言葉だと。

今の俺には、夜の台所の話に聞こえる。

やりたくないことを避けた分だけ、
やりたいことは、誰かの負担の上に立つことになる。

それからは、夜の家事を最優先にした。
最短で終わらせてから、机に向かう。

事業やブログに充てる時間は、少し短くなった。
それでも、後ろめたさを抱えたまま書く夜はなくなった。

──思いきりやるのは、やりたいことだけじゃなくていい。

明日、ひとつだけ

机に向かう前に、一度だけ考える。
「これを後回しにしたら、誰がやることになるか」

答えが自分以外の誰かなら、それを先に終わらせる。

完璧じゃなくていい。
最短でいい。

やりたいことを守るのは、
やりたくないことを先に片付けた手だ。
と、俺は思っている。

──今夜もまた、流しを空にしてから、読書灯を点ける。

同じ夜を戦う、戦友へ

もし今夜、やりたいことの裏で何かを後回しにしたあなたへ。
2冊、置いていきたい。

📖 好きなことに、思いきり打ち込みたい人へ
『ちはやふる』末次由紀

競技かるたに打ち込む高校生たちの物語だ。
好きなものに本気で向き合う人たちを描いた作品として、長く読まれている。

📚 気が進まないことを、先に片付けたい人へ
『カエルを食べてしまえ!』ブライアン・トレーシー

一番気が進まない、でも大事な仕事を「カエル」にたとえて、それから先に片付けることをすすめる本だ。
やりたいことの時間を守りたい人ほど、手元に置いておきたい一冊かもしれない。

このブログ「深夜の読書灯」では、
懸命に生きる父・事業主・サラリーマンが、漫画から学んだ「仕事術」や「生き方」を発信している。

同じ夜を過ごす戦友がいるなら、Xでも繋がりたい。

@shinyadokushoto

──今夜もまた、どこかで一つ、読書灯が灯る。

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