覚えていなくても、残るもの──『葬送のフリーレン』に教わった、小さな約束を守る理由

深夜の机に置かれた読書灯と単行本と、角のすり減った子ども用の絵本 父としての背中

どんなに眠い夜でも、子どもに本を読む。

俺のほうが先に、まぶたが落ちそうになる。
それでも、最後のページまで読む。

約束したからだ。

眠くても、本を読む

寝る前に、本を読んでほしい。
そう言われたら、読むことにしている。

仕事で疲れた日も。
事業の作業が残っている日も。
正直、自分のほうが先に眠ってしまいそうな夜も。

宿題も同じだ。

「夜のうちに見ておいてほしい」と言われたら、必ず見ておく。
直したほうがいいところを、朝までに伝えられるようにしておく。

どれも、小さな約束だ。
破ったところで、大きな問題にはならない。

──でも、小さいからこそ、守ることにしている。

小さな約束は、大きくなってからでいいのか

子どもがもう少し大きくなってから、ちゃんとすればいい。
そういう考え方も、あると思う。

小さい頃のことは、どうせ覚えていない。
だったら、疲れている夜くらい、後回しにしてもいいんじゃないか。

俺は、そうは思わなかった。

子どもは、今日の夜のことを、大人になって覚えていないかもしれない。
読んでもらった本の題名も、直してもらった宿題の中身も。

それでも、約束は守られるものだ、という感覚だけは、どこかに残る気がしている。
記憶には残らなくても、無意識の部分に。

──そう思うようになったのは、ある漫画の場面を読んでからだった。

覚えていなくても、残るもの

『葬送のフリーレン』は、勇者一行の旅が終わった後から始まる物語だ。

長い寿命を持つフリーレンは、仲間と過ごした10年の旅を、それほど大事なものだと思っていなかった。
細かいことも、あまり覚えていない。

でも、勇者ヒンメルがいなくなった後、彼の行動は残り続ける。

迷ったとき、困っている誰かを前にしたとき。
ヒンメルなら、きっとそうした。
そんな意味の思いが、残された者の判断の基準になっていく。

ヒンメルは、言葉で何かを教えたわけじゃない。
ただ、目の前の小さなことを、ひとつずつやり続けただけだ。

──俺が子どもに残したいのも、たぶん、それと同じものだ。

約束を守る父でいる

小さな約束を守り続けることで、子どもの中に、約束は守るものだという感覚が根づいてほしい。

そして、父親として信頼される人でいたい。

信頼は、大きな出来事で一度に生まれるものじゃない。
眠い夜に本を読む。
朝までに宿題を見ておく。
そういう小さな約束が、少しずつ積み重なって生まれるものだと思う。

いつか子どもが大人になって、何かに迷ったとき。
「父なら、こうしたな」と、ふと思い出してもらえたら。

その時、本の題名を覚えていなくてもいい。

──残るのは、出来事じゃない。積み重ねた、振る舞いだ。

明日、ひとつだけ

今日、子どもや家族と交わした小さな約束を、ひとつ確実に守る。

「あとでね」と言ったことでも、
「見ておくよ」と言ったことでも、いい。

相手が覚えていなくても、守る。

小さな約束を守れる人が、大きな信頼を得る。
と、俺は思っている。

──今夜もまた、子どもに本を読み終えてから、読書灯を点ける。

同じ夜を戦う、戦友へ

📖 誰かに残したい背中がある人へ
『葬送のフリーレン』山田鐘人・アベツカサ

勇者一行の旅が終わった後、エルフの魔法使いが、かつての仲間たちを知るために再び旅に出る物語だ。
人は、いなくなった後も、その行動で誰かの中に生き続ける。そう思わせてくれる一冊だ。

このブログ「深夜の読書灯」では、
懸命に生きる父・事業主・サラリーマンが、漫画から学んだ「仕事術」や「生き方」を発信している。

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@shinyadokushoto

──今夜もまた、どこかで一つ、読書灯が灯る。

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