味方のいないトップを、つないだ日──『HUNTER×HUNTER』に学ぶ、狙い通りに動く面白さ

深夜の机に置かれた読書灯と漫画の単行本と猪の貯金箱 熱の処方箋

ある大きな得意先に、新しいトップが着任した。

その人は、まったくの外から来た人だった。
組織の中にも、周りの関係先にも、
縁もゆかりもない。

肩書きはある。
でも、味方は一人もいない。

少なくとも俺には、そう見えた。

──そしてその時、俺は商品の話より先に、やることがあると思った。

昔の俺は、商品の良さしか話さなかった

若い頃の営業は、単純だった。

商品の良さを、どう伝えるか。
それだけを考えていた。

資料を磨き、説明の順番を考え、
聞かれそうなことに答えを用意する。

相手が、商品を使うこと以外で何に困っているか。
そこまで考える余裕はなかった。

正直に言えば、考える必要もないと思っていた。
営業の仕事は、商品を通して顧客の課題解決を図ることだからだ。

でも、相手がそもそも商品に困っていなかったら。
どれだけ良さを伝えても、話は前に進まない。

それに気づくまで、ずいぶん時間がかかった。

──だから、あの時は少し違う動き方をしてみた。

仮説を一つ立てて、動いてみた

新しいトップを見て、俺は一つ仮説を立てた。

この人が今一番困っているのは、
商品のことじゃない。
人とのつながりだ。

上に立つ人ほど、組織の中とも、周りとも、
うまくやっていかなければならない。
でも、外から来た人には、その足がかりがない。

だったら、俺がつなげばいい。

組織の中の人たちと。
周りの関係先の、影響力のある人たちと。

勉強会を開いたり、人が顔を合わせる場を作ったりした。
会社の名前で動ける範囲で、できることを重ねていった。

しばらくして、そのトップの方から声をかけられた。

人脈を作るのを、手伝ってほしい。
いろいろ教えてほしい。

仮説は、当たっていた。

──頼まれる前に動いていたことが、頼られる理由になった。

狙い通りに動くことが、一番面白かった

『HUNTER×HUNTER』に、こんな意味の言葉がある。

狙った通りに獲物が動けば、それがハンターとしての喜びだ。
道中を楽しみたい。それだけだ、と。

読んで、あの時のことを思い出した。

結果として、取引も広がった。
そのトップのところだけでなく、
周りの関係先にまで。

会社としては、それが一番の成果だったと思う。

でも、俺自身に一番残っているのは、そこじゃない。

「ありがとう」と、直接言われたこと。

外から一人で来た人が、俺を頼ってくれた。
そして俺は、その人の願いを叶えることができた。

立てた仮説の通りに、人がつながっていく。
その途中が、たまらなく面白かった。

──取引は、その道中のあとに、ついてきただけだった。

回り道は、遠回りじゃなかった

今思えば、あれは回り道だった。

商品の話を、すぐにはしていない。
相手の困りごとを先に見て、そこに手を貸した。

急がば回れ、という言葉がある。
営業でも、本当にそうだと思う。

相手を知り、相手にも知ってもらう。
そうして距離が縮まると、
やっと商品の話を聞いてもらえる。

使ってもらわなければ、良さは分からない。
率直な声も、聞けない。

だから、その入口に立つための回り道は、
遠回りじゃなかった。

一番近い道だった。

──狙いを立てて、途中を楽しむ。それが、俺の営業の形になった。

明日、ひとつだけ

商品とは関係のない場面でも、
顧客の困りごとを考えてみる。

雑談の中の一言。
ふとこぼれた愚痴。
商談が終わった後の、何気ない表情。

そこに、相手が本当に困っていることが
隠れていることがある。

当たっていなくてもいい。
仮説は、外れたら立て直せばいい。

一つ考えてみるだけで、
次に会う時の見え方が変わる。

──今夜もまた、明日会う人の困りごとを一つ思い浮かべてから、読書灯を落とす。

まとめ:道中を楽しむということ

商品の良さだけを話していた頃は、
相手のことが見えていなかった。

相手の困りごとに仮説を立てて、動く。
狙い通りに人がつながっていく。
その途中が、一番面白い。

取引は、そのあとに、ついてくる。

同じ夜を戦う、戦友へ

📖 結果ばかりを追って、少し疲れている人へ
『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

父を探してハンターになった少年が、仲間とともに広い世界を旅していく物語だ。

このブログ「深夜の読書灯」では、
懸命に生きる父・事業主・サラリーマンが、漫画から学んだ「仕事術」や「生き方」を発信している。

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@shinyadokushoto

──今夜もまた、どこかで一つ、読書灯が灯る。

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