眠かった。
本業を終えて、家のことを済ませて、ようやく机に向かった夜。
パソコンを開く手が、重かった。
書くのが好きで始めたブログだ。
それなのに、その夜は一行も書きたくなかった。
好きで始めたはずだった
このブログを始めた理由は、二つあった。
ひとつ、書くことが好きだったこと。
もうひとつは、営業で積んできた経験を、誰かの役に立てたかったこと。
好きなことなら、続けられると思っていた。
でも、疲れた夜の俺に、「好き」は何も言ってくれなかった。
──好きなだけでは、書けない夜があった。
前日にやらなかった、商談の準備
それでも、書いた。
理由のひとつは、途切れさせたくなかったこと。
もうひとつは、営業で身についた癖だった。
やるべきことは、後回しにしない。
この癖がついたのには、きっかけがある。
ある日、翌日の商談準備を、前日にやらずに当日へ回した。
当日やれば間に合う。予定の上では、そのはずだった。
でも当日は、急ぎの仕事が舞い込んだ。
別の仕事も、予定より長引いた。
準備はバタついて、不十分なまま商談に入ることになった。
当日は、当日で何が起きるか分からない。
予定の上の「間に合う」は、何も起きなかった場合の話だった。
それに、一度後回しにすると、次も後回しにしやすくなる。
楽な方へ流れる癖は、思っているより簡単に身につく。
楽(らく)と楽しいは別物だ、という話は以前の記事にも書いた。
それから俺は、準備を前もってやるようにした。
今も、その癖で営業をしている。
あの夜、「明日書けばいい」と思いかけた。
思い浮かんだのは、あの商談での失敗経験だった。
──明日の俺に、余白があるとは限らない。
好きと、努力家と
『ブルーピリオド』に、美術教師の佐伯先生が、好きなことに打ち込む努力家は強い、という意味のことを言う場面がある。
初めて読んだ時は、好きなことをやる人は強い、という話だと思っていた。
でも、書けない夜を越えた今は、少し違って読める。
この言葉には、二つのものが入っている。
「好きなこと」と、「努力家」だ。
好きは、始める理由になる。
でも、疲れた夜には黙ってしまう。
その夜に机へ向かわせるのは、もう片方だ。
俺の場合、それは営業で身についた、後回しにしない癖だった。
好きだけでは、折れる。
努力だけでは、そもそも始めない。
両方が揃った時に、ようやく続けられる。
強いというのは、たぶんそういうことだ。
もちろん、俺が強いかどうかはまだ分からない。
ブログは、始めたばかりだ。
ただ、続ける理由を、好きの外にも持っておく。
それだけは、営業が先に教えてくれていた。
明日、ひとつだけ
「明日やればいい」と思ったら、
今日のうちに、ひとつだけ手をつける。
全部やらなくていい。
資料を開くだけでも、一行書くだけでもいい。
明日の自分に、余白があるとは限らないから。
──好きなことほど、好きに任せきりにしない。
同じ夜を戦う、戦友へ
もし今夜、好きで始めたことを続けるのがしんどいあなたへ。
2冊、置いていきたい。
📖 好きなことに、本気になりたい人へ
『ブルーピリオド』山口つばさ
要領よく生きてきた高校生が、絵に出会って本気になる物語だ。
好きなことに本気になる怖さと、それでも描く理由が描かれている。
📚 好きなことを、後回しにせず続けたい人へ
『「後回し」にしない技術』イ・ミンギュ
すぐ行動に移るための方法を、心理学の研究をもとに20個集めた本だ。
「決心する」「実行する」「維持する」の3章に分かれている。
このブログ「深夜の読書灯」では、
懸命に生きる父・事業主・サラリーマンが、漫画から学んだ「仕事術」や「生き方」を発信している。
同じ夜を過ごす戦友がいるなら、Xでも繋がりたい。
──今夜もまた、どこかで一つ、読書灯が灯る。


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