社内のプレゼンの準備は、いつもギリギリだった。
日程が決まっても、すぐには手をつけない。
まだ時間はある。
他にやることもある。
そう思っているうちに、気づけば前日の夜。
慌てて資料を作り、
練習は、通しで一回できればいい方だった。
──そして当日、だいたい同じところでつまずいた。
ギリギリの準備は、いつも同じ形で崩れた
失敗の形は、毎回似ていた。
話の流れが、途中でつながらない。
聞かれそうな質問に、うまく答えられない。
資料の一枚が、言いたいことと少しずれている。
どれも、時間さえあれば直せたものだった。
一度作って、一度通して、
「ここは分かりにくいな」と気づいて、直す。
それだけで防げた失敗だった。
でも前日の夜には、その「直す時間」が残っていない。
作るだけで、精一杯。
見直す前に、朝が来る。
能力が足りなかったわけじゃないと、今は思う。
足りなかったのは、時間だった。
──いや、正確に言えば、時間はあった。使い始めるのが遅かっただけだ。
まず一通り作ると、頭が勝手に考え始める
失敗が続いて、やり方を変えた。
日程が決まったら、まず一通り作る。
出来が悪くてもいい。
とにかく最後のページまで作って、一度練習してみる。
やってみて、驚いたことがある。
一度形にすると、
普段の仕事や生活の中でも、
頭のどこかでプレゼンのことを考えるようになった。
移動中に、ふと「あの順番は逆の方がいいな」と思う。
誰かと話していて、「この例えは使えるな」と気づく。
机に向かっていない時間まで、
勝手に準備が進んでいく。
だから、修正も、その後の練習も、驚くほどスムーズになった。
何もない状態からは、何も考えられない。
一度作ったものがあるから、直すところが見えてくる。
──その感覚に、ある本が名前をつけてくれた。
初速は、精度を上げる時間を買う
越川慎司さんの『仕事は初速が9割』を、オーディオブックで聴いた。
仕事ができる人は、初速が速い。
つまり、着手するまでのスピードが速い。
本の中心にあるのは、そういう考え方だ。
聴いて、もっともだと思った。
そして俺は、自分の失敗に重ねて、もう一歩先まで考えた。
大事な仕事ほど、精度が求められる。
精度を上げるには、時間をかけて詰めていくしかない。
でも、初速が遅いと、かけられる時間が減る。
時間が減れば、詰め切れない。
詰め切れなければ、成果物の精度は上がらない。
そして、「仕事ができない」と評価される。
初速が遅いことは、
それだけで、仕事の質を下げてしまう。
早く始めるのは、気合いの話じゃない。
精度を上げるための時間を、先に確保する行為だ。
──じゃあ、どうすれば初速を上げられるのか。
着手のハードルを、とにかく下げる
初速を上げるといっても、
いきなり完璧に始めようとすると、手が止まる。
だから今は、着手のハードルをできるだけ下げている。
なんでもいいから、手をつける。
ファイルを一つ作る。
フォルダーに名前をつける。
それだけでも、仕事は「始まった」側に入る。
そして、15分だけ作業時間を取る。
1時間ではなく、15分。
15分なら、どんなに忙しい日でも作れる。
そして一度始めると、
不思議と、15分で終わらないことの方が多い。
始めることさえできれば、
あとは、作ったものが次の作業を呼んでくれる。
──大事なのは、上手く始めることじゃなく、早く始めることだった。
明日、ひとつだけ
大事な仕事を受け取ったら、
その日のうちに、ファイルを一つ作る。
中身は空でいい。
タイトルを一行書くだけでもいい。
それだけで、その仕事は、
頭の片隅で動き始める。
──今夜もまた、明日の仕事のファイルを一つ作ってから、読書灯を落とす。
まとめ:初速は、精度のための時間
ギリギリの準備で崩れていたのは、能力ではなく時間だった。
一度作れば、頭が勝手に考え始める。
考える時間が長いほど、精度は上がる。
初速は、気合いではない。
精度を上げる時間を、先に手に入れることだ。
同じ夜を戦う、戦友へ
📖 いつも締め切りに追われている人へ
『仕事は初速が9割』越川慎司
仕事の出だしを早くすることで、余裕を持って成果を出すための考え方と工夫がまとめられた一冊だ。
このブログ「深夜の読書灯」では、
懸命に生きる父・事業主・サラリーマンが、書籍から学んだ「仕事術」や「生き方」を発信している。
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──今夜もまた、どこかで一つ、読書灯が灯る。


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